反夢界前です。
- ゆきの
- なんだ!?ここ今までの部屋と雰囲気が違うね。ここも誰かの夢なのか?ん?奥に誰かいるよ!
- ???
- …あら…まぁお客様よ…めずらしいわね。
- ???
- そうだね……おもてなしをしてあげようか?
- 南条(ブラウン未加入時)
- なんだ?彼女は。うちの学校の制服を着ているが、これは彼女の夢なのか?
- ブラウン
- ひょーう!なかなかカワイイ娘じゃん!りょりょ!? なんだよ!なんだよ!!うちの学校の制服着てんじゃないの!!おれ様としたことがノーチェックだったのかァー?
- アヤセ
- ねぇアンタ、ナン組のダレさん?アンタもここに閉じこめられてんの?
- ???
- うふふ。あなたたちこそどうしてここにいるの?ここは私の私による私のためだけの夢。 そう、この「ヒュプノスの塔」の守護を雪の女王よりまかされた、私「広瀬 久美」の夢なのよ。 勝手に他人の夢に土足で上がり込むなんて失礼な人達ね。ね?ヒュプノス様?
- ヒュプノス
- そうだね久美。他の人間の夢ならともかく、久美の夢に入り込むなんて。身の程知らずなヤツ等だね。 どうする久美?キミさえよければ、あいつらちょっとコらしめてやるけど。
- 南条
- 塔の主?では貴様等が学校の人々を眠らせ、「反夢界」に閉じこめている張本人なのだな。 なぜひと思いに殺さず、そんな回りくどいことをする?人間の魂を「反夢界」に閉じこめ何を企んでいる!?
- エリー(ブラウン未加入時)
- 塔の主?では、あなた達が学校の人々を眠らせて、「反夢界」に閉じこめてるんですのね。 あなたたちなら彼らを皆殺しにするのもたやすいはず。何の目的で人々の魂を「反夢界」に閉じこめるのです!?
- 久美
- …ふ…うふふふ。…何かと思えばそんなことを聞いてくるなんて…。しかたないわね。 あなたたちも、現実世界で生きることをしいられた不幸な人達なんだもんね。決まってるでしょう?人間は夢の中で生きるのが一番幸せだからよ。 人は現実世界では決して幸せになれない…。私はそれをみんなに教えてあげてるだけなのよ。ね?ヒュプノス様?
- ヒュプノス
- そうだね久美。久美は全然悪くないよ。悪いのは全部…あいつらだ。 でもあいつらが、久美のこと理解できないのもしょうがないよ。あいつらは久美が現実世界でどんなにつらい目にあったか…。 どんな思いでこの夢の世界にやってきたのか…全然知らないんだよ。
- さ、見せてやろう。現実世界で久美がどれほどの目にあってきたのか。 そして教えてやろう!夢の世界の素晴らしさを!!
- (辺りが光る)
- ゆきの
- え…何!?何なんだい!!
- (回想1)
- 演劇部部長
- ちょっと広瀬さん。あなた最近、演劇部の練習に全然顔を出さないわね。 「雪の女王」の劇の練習に「雪の女王」役のあなたが出てこないでどうするの?! みんないっしょうけんめいやっているのに、あなた自分だけ出てこないで平気なの!? 大役をまかされた部員としての自覚はあるの?!
- 演劇部員
- そーだよ久美。部長をさしおいて「雪の女王」選ばれといてそれはないよね。 あんたもしかして、それでイイ気になってんじゃないの?
- 演劇部員
- でもマジな話、ちったぁ練習に出てくんないとこまんだよねー。 台詞あわせ、代役でヤんのも限界だしさあ。久美ぃ、どういうつもりなんだよ。
- 久美
- …あの……べ…勉強しなくっちゃ……いけなくって…。 …成績…下がっちゃって……お…親が……部活…なんか……いいから…勉強しろって…。
- 演劇部員
- うわちゃー、さすがクラスいちのガリ勉の親だぁ!そりゃないよなー久美。 こないだのテストも学年で3位じゃんか。どこが悪いんだよ!
- 久美
- …あ…1位じゃ……ない…からって…。
- 演劇部員
- なによそれ!イヤミのつもり!?ちょっと頭がイイからってイイ気になんないでよね!! そんなにおベンキョウが大事なら部活なんてやめちゃいな!!はっきり言ってメイワクよ!
- 久美
- …そ……そんなつもりじゃ……わたし…。
- 演劇部部長
- まぁいいわ。そういう理由で部活に出てこなかったの…。 広瀬さん…あなた私を…いいえ、部活をなめてるの? 自分が練習に参加しないことで、どれだけの人に苦労をかけてるか理解してる? あなたが自分の事情にだけかまけてる間に、他人がどれだけ迷惑をこうむっているか、本当に理解してる? 広瀬さん…この「演劇部」という集団の中での、今のあなたの役目って何かしら? もしそれがわからないのなら、この演劇部から出ていってちょうだい。
- 演劇部員
- そーよ!そーよ!部長の言うとおりだわ!出てきなさいよ! この頭でっかちのメガネザル!あんたみたいなネクラのミソッカス、いるだけで不愉快よ!
- 演劇部員
- かわいそうだけど、部長の言うことももっともだぁーね。 よく考えな久美。おベンキョウと青春、どっちが自分に大切か…なんてね。
- 久美
- ……………。
- (回想2)
- 久美の父親
- …こんな遅くまで部活動か?久美お前はいったい、学校に何しに行ってるんだ?勉強か?それとも遊びにか?
- 久美
- ……あ…あの……でも…「雪の女王」に…選ば-
- 久美の父親
- お母さんに聞いたぞ。この間のテストで70点台の物があったらしいな。 勉強もせずに遊んでばかりいるから、そんな低い点をとるんだ。
- 久美
- …でも…平均は……はちじゅう…。
- 久美の父親
- 父さんが好きな酒もタバコもひかえて、土日のドルフも止めてまで働いて金をかせいでるのは、誰のためだと思ってるんだ!? お前と母さんを養うためだろう?久美、お前がいま学校に通えるのは、父さんが汗水たらして働いてるからなんだぞ。
- 久美
- …………はい。
- 久美の父親
- なのにお前は、そんな父さんの苦労も考えず勉強もせず、部活なんぞにうつつを抜かし遊びほうけてる。悪いのは久美、お前だな。
- 久美
- ……………。
- (回想3)
- 久美
- …どうしてみんな私を責めるんだろう。私が何をしたっていうの? 私が何かをしても、私が何もしなくても、いつだって…そう、いつだって。 私を取りまく世界。私を取りまく人達。みんな、みんな悪意と敵意に…満ちてる。 私に自由なんてカケラもないような気がする…。 この現実という空間に、この現実に生きる人の中に…私…存在しちゃいけないのかな。
- 私をやさしく取りまく世界。私をやさしく取りまく人達。 みんな、みんな善意と好意に満ちてる。私が自由に生きることができる世界…。それって夢だよねー…。 「夢」?「夢」…か。ふふ…こうやってベッドで寝てる時だけ…か…。 誰も私に文句言わないの…。私に残された、たった一つの自由な世界。 「夢の世界」…このまんま夢の世界に行っちゃいたいなー…。私だけの、私のための「夢の世界」へ…。
- ゆきの
- へぇ………今のが、アンタが夢の世界に閉じこもらざるをえなかった「理由」ってワケね。……で、だからなんなんだい?
- 久美
- あ…あなた、今のみてなにも感じないの?ど…どういう神経してるの? ゆき…雪の女王は…仮面は、すぐに私のつらさ、悲しみをわかってくれたのに…!! あ…あなたは私の父さんや演劇部の奴らといっしょよ!はじめっから私のコトを理解しようとしてないんだ!
- ヒュプノス
- お、落ち着いて久美!落ち着くんだ!!
- 南条(ブラウン未加入時)
- まったく……!貴様はそんなくだらん…とるに足らん理由で夢の世界に逃げ込んだのか? バカバカしくてなにも言えん。貴様…人生をなめているだろう?
- ブラウン
- よォよォ!久美ちゃーん。キミってェ、人生ムツかしく考えすぎてんじゃない? …ていうかァ!人生は楽しいコトばっかなんだぜェ。ホントにさァ!フンワカいこうよフンワカさぁ、おれ様みたいにィ。
- アヤセ
- なーにさ!つまり自分は勉強ができるってジマンしたかっただけじゃん! どーせアヤセはバカだよー!もォ信じらんない!超ムカ!
- 久美
- だって…だって……!私が何をしたっていうの?何をしてもしなくても! 誰も私にやさしい言葉をかけてくれないのよ!私は私なりにがんばったつもりなのに! 周りに人が!周りの人は!ねぇ!ヒュプノス様!?ねぇ!?そうでしょう?!私が悪いんじゃないよね?
- ヒュプノス
- そうとも!悪いのは久美じゃない!悪いのは…。
- 南条
- …「他の人間」…か?ふん、楽だったのだなァ…貴様の生き方は。 何でもかんでも他人のせいにして逃げ回っていればいいだけなのだからな! そのうえ、逃げるのもいやになって今度は夢の世界で一人遊びか? 結局貴様は、現実の世界と人間にかかわるのが恐くて夢の世界に逃げ出した負け犬ではないか。
- エリー(ブラウン未加入時)
- 「他の人間」ですか?楽ですね?あなたの生き方は…。 何でも人のせいにして、自分は安全地帯で文句を言っているだけ…。 そんなに他の人達とかかわるのが恐いのですか?本当にあなたって自分勝手で弱い人間なんですのね。
- 久美
- な、何様のつもりなの?!あなたたち!今の私は幸せなの!幸せなんだったら!! 雪の女王の仮面だけが!ヒュプノス様だけが!私を救ってくれたわ。 夢の世界で私は初めて!初めて!自由を手に入れたのよ。 たとえ世界そのものが夢でも、この私の心の中にある「幸福感」だけは本物なのよ!
- ヒュプノス
- もういい!もう…いいよ久美。こいつらをヤってしまおう。そしてまたふたりだけの幸せな夢に戻ろう。
- ゆきの
- およしよ、強がりは。ここは「反夢界」なんだろ。だったらここにいるアンタ達は塔のどこかにいる「広瀬久美」の夢が創り出した幻影ってワケだろ? つまりアタシらがアンタをつねって起こせば、アンタ達は消えちまうってワケだよねぇ! 今起こしてやっから!寝ぼけマナコこすってアタシらが行くの首洗って待ってな!!
- ゆきの
- あの久美ってコがこの塔の親玉か!あの子も1枚や2枚「鏡の破片」を持ってるワケだね。
- アヤセ
- ブー!ブー!!超むかつく女よね。さっさとやっつけよう!
- 南条
- なんなのだ!あの女は!人生をなめとるとしか言い様がないぞ。「自分一人が不幸だ」というカン違いした被害者意識が気に入らん。
- エリー
- Kumiさんの隣の「ヒュプノス」…。Kumiさんの夢の産んだ理想の「王子様」の幻影…。想像の産物だといいんですが。
- ブラウン
- ウーン…人生はムツかしいよなぁ…。おれ様頭いいし苦労してるから、久美ちゃんの気持ち、ちょっとわかっちゃうゼ。
- 久美
- 何、何なの!わ、私に手を出したら、ヒ、ヒュプノス様が黙ってないわよ!
- ヒュプノス
- 久美に手をふれるな!無礼者!
- -
- 久美をつねりますか?
- ・はい
- 久美
- くッ…よくも!おぼえてなさいよ!!
- (久美達の姿が消える)
- (選択肢エンド)
- ・いいえ
- 久美
- い、いい判断ね。私をつねっていたら大変なことになっていたわよ。
- (選択肢エンド)